『風の画家』 中島潔
2005年 09月 06日
大阪の阪神百貨店で開催されている中島潔さんの絵の展覧会に行ってきました。
(明日7日の16時までです。)
電車の中吊広告でたまたま知ったのですが「あ。コレ行こう」と直感的に思い、
先週の土曜日に足を運びました。
中島潔さんという名前を聞いてもどんな人か分からないっていう方でも、
絵は、絶対と言っていいほど、誰もが必ず一度は目にしたことがあると思います。
私は昔「みんなのうた」のアニメーションでよく見かけました。
ちょっと寂しそうな目をした、昭和初期くらいの田舎に住む子供たちが多く描かれています。
これは『秋暦』という作品です。
(今回の展覧会で展示されていたかはちょっと定かではありません・・・ごめんなさい・。。)
今回は、日本で描いたものとパリで描いたもの、両方の展示ということで、
作品数もかなりの量があり、見応え十分でした。
ところどころに中島さんのことばや、彼についてのコメントがボードに書かれていて、
全部読んできましたが、とても印象に残ったものをひとつ紹介したいと思います。
ゆれ動く風の中にいることが好きだった
これは中島さん自身が子供の頃のことを回想しているコメントの部分ですが、
私はこれを読んで、「あ、だからかぁ」と思いました。
彼の絵にはどれも 風 が描かれていたからです。
風 そのものが実際に描かれているわけではないけれど、
そこには確かに 風 を感じるのです。
こういうのってホントartistとして「スゴイなあ」って思う。。。
日本の原風景を描いた絵にはどれもこれも季節感めいっぱいで
改めて四季の美しさを教えていただいた気がしました。
しかも私の好きな田舎の風景ばかりなので、心が落ち着き、和みました☆
でもやっぱり子供達の表情がどことなく寂しくて、見てまわっていくうちに、
徐々に“きゆーん”とせつな~い気持ちに。
中島さんの描く子供達は、どうしてどの子の表情もこんなに寂しげ、
それでいて、『何か』を訴えているような、『何か』を必死に求めているような
そんな眼差しをしているんだろうと思っていたら、
こんなコメントが書かれたボードがありました。
「中島さん自身小さい頃にお母さんを亡くし、その寂しい気持ちが表れているのでは・・・」と。
これを読んで、分かりました。
私が感じた『何か』とは、『お母さん』だったんだなって。
『お母さんを恋しく想う気持ち』はいくつになっても消えることなく
むしろ年々増していくのかな・・・と
無性にぶわ~っと込み上げてくるものがあって胸が熱くなりました。
中島さんのたくさんの絵の中で「スキだな」と思うものはたくさんあったし
長い間立ち止まって見とれてしまうものもいっぱいあったけれど
そういうのとはまた違う意味で、一番心魅かれた絵がひとつありました。
心魅かれたというか、
正確には、
その絵を見て心臓が『ドキン』としたっていう表現の方が合っているかも。
「コレ、私じゃん・・・」って思ったんです。
それは、パリで描かれた絵で『街の雨』という題が付けられていました。
舞台は雨降るパリの街。
レンガで敷き詰められた屋根の上に裸足の女の子が立っている。
少し黒味がかったブルーの傘を持っているのに差していない。
雨だけではなく風も強く吹いているようだ。
両手で持ち、下に向けたその傘が波打っている。
その雨・風に負けないように肩幅以上に両足を広げて、しっかり踏ん張っている。
そして、空を。
見上げている。
胸を反らし、首は上を向けるだけ向いて。
曇ったままで、太陽の光なんて永遠に差し込まないんじゃないかって思ってしまうくらい
どんよりした雲がたちこめる重くるしい空をずっと見つめている。
何を想い、何を願っているのか。
やはり寂しい表情。
何かを求めている眼差し。
だけど、何も感じていないようにも見える。
パッと見は、空(そら)を見ているように思うけれど、
ずっと見ていると、実は空(くう)を見ているようにも思えてくる。
この「一体どっち?」っていう感じが今の私とダブって見えたのだ。
私が描かれてしまったような気になったのだ。
見透かされているような。
見破られてしまったような。
それで『ドキン』。
一見、現実と向き合っているように思う ←空(そら)
けれど
実際は現実から逃げているようにも思う ←空(くう)
これが今の私。
人には強く見られたいなんて変なプライドを持った
本当は誰よりも弱い、弱くてどうしようもない私。
こんなんじゃ、何も超えられないし、ましてその向こうになんか行けるわけない。
空は『くう』じゃなくて『そら』として、ちゃんと見上げられるようになりたい。
これからどうしていくか、何をしていくか、全ては自分にかかっている。
過去は過去の自分が作ったただの産物。
忘れてしまったっていい。
未来は未来の自分が作っていくんだ。
そして、がんばれ!今の私!
顔晴れ!そらを見上げるときは思い切り笑顔で見上げるんだ!
(明日7日の16時までです。)
電車の中吊広告でたまたま知ったのですが「あ。コレ行こう」と直感的に思い、
先週の土曜日に足を運びました。
中島潔さんという名前を聞いてもどんな人か分からないっていう方でも、
絵は、絶対と言っていいほど、誰もが必ず一度は目にしたことがあると思います。
私は昔「みんなのうた」のアニメーションでよく見かけました。
ちょっと寂しそうな目をした、昭和初期くらいの田舎に住む子供たちが多く描かれています。
これは『秋暦』という作品です。
(今回の展覧会で展示されていたかはちょっと定かではありません・・・ごめんなさい・。。)
今回は、日本で描いたものとパリで描いたもの、両方の展示ということで、
作品数もかなりの量があり、見応え十分でした。
ところどころに中島さんのことばや、彼についてのコメントがボードに書かれていて、
全部読んできましたが、とても印象に残ったものをひとつ紹介したいと思います。
ゆれ動く風の中にいることが好きだった
これは中島さん自身が子供の頃のことを回想しているコメントの部分ですが、
私はこれを読んで、「あ、だからかぁ」と思いました。
彼の絵にはどれも 風 が描かれていたからです。
風 そのものが実際に描かれているわけではないけれど、
そこには確かに 風 を感じるのです。
こういうのってホントartistとして「スゴイなあ」って思う。。。
日本の原風景を描いた絵にはどれもこれも季節感めいっぱいで
改めて四季の美しさを教えていただいた気がしました。
しかも私の好きな田舎の風景ばかりなので、心が落ち着き、和みました☆
でもやっぱり子供達の表情がどことなく寂しくて、見てまわっていくうちに、
徐々に“きゆーん”とせつな~い気持ちに。
中島さんの描く子供達は、どうしてどの子の表情もこんなに寂しげ、
それでいて、『何か』を訴えているような、『何か』を必死に求めているような
そんな眼差しをしているんだろうと思っていたら、
こんなコメントが書かれたボードがありました。
「中島さん自身小さい頃にお母さんを亡くし、その寂しい気持ちが表れているのでは・・・」と。
これを読んで、分かりました。
私が感じた『何か』とは、『お母さん』だったんだなって。
『お母さんを恋しく想う気持ち』はいくつになっても消えることなく
むしろ年々増していくのかな・・・と
無性にぶわ~っと込み上げてくるものがあって胸が熱くなりました。
中島さんのたくさんの絵の中で「スキだな」と思うものはたくさんあったし
長い間立ち止まって見とれてしまうものもいっぱいあったけれど
そういうのとはまた違う意味で、一番心魅かれた絵がひとつありました。
心魅かれたというか、
正確には、
その絵を見て心臓が『ドキン』としたっていう表現の方が合っているかも。
「コレ、私じゃん・・・」って思ったんです。
それは、パリで描かれた絵で『街の雨』という題が付けられていました。
舞台は雨降るパリの街。
レンガで敷き詰められた屋根の上に裸足の女の子が立っている。
少し黒味がかったブルーの傘を持っているのに差していない。
雨だけではなく風も強く吹いているようだ。
両手で持ち、下に向けたその傘が波打っている。
その雨・風に負けないように肩幅以上に両足を広げて、しっかり踏ん張っている。
そして、空を。
見上げている。
胸を反らし、首は上を向けるだけ向いて。
曇ったままで、太陽の光なんて永遠に差し込まないんじゃないかって思ってしまうくらい
どんよりした雲がたちこめる重くるしい空をずっと見つめている。
何を想い、何を願っているのか。
やはり寂しい表情。
何かを求めている眼差し。
だけど、何も感じていないようにも見える。
パッと見は、空(そら)を見ているように思うけれど、
ずっと見ていると、実は空(くう)を見ているようにも思えてくる。
この「一体どっち?」っていう感じが今の私とダブって見えたのだ。
私が描かれてしまったような気になったのだ。
見透かされているような。
見破られてしまったような。
それで『ドキン』。
一見、現実と向き合っているように思う ←空(そら)
けれど
実際は現実から逃げているようにも思う ←空(くう)
これが今の私。
人には強く見られたいなんて変なプライドを持った
本当は誰よりも弱い、弱くてどうしようもない私。
こんなんじゃ、何も超えられないし、ましてその向こうになんか行けるわけない。
空は『くう』じゃなくて『そら』として、ちゃんと見上げられるようになりたい。
これからどうしていくか、何をしていくか、全ては自分にかかっている。
過去は過去の自分が作ったただの産物。
忘れてしまったっていい。
未来は未来の自分が作っていくんだ。
そして、がんばれ!今の私!
顔晴れ!そらを見上げるときは思い切り笑顔で見上げるんだ!
by w-rainbow-rieko
| 2005-09-06 16:23
| アート